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2006年 06月 20日
アンコールに応え、再び現れた譚詠麟(アラン・タム)は、白いTシャツに光る緑の細い
パンツ姿だった。短く刈り上げた髪、ほっそりとした首と腕。少年のような華奢な体つき。 3時間歌い続けた後ろ姿には、静かな達成感と落ち着きが漂っていた。 デビューから30年。香港が上昇気流に乗った1980年代、張國榮(レスリー・チャン)と 二大アイドルとして君臨した。それからのめまぐるしい数年が過ぎ、張國榮が映画に軸足を 移した後も、譚詠麟は「歌い手」としての道を貫いた。 天性の明るさ。陽性の明星だ。スクリーンに映る彼は明るく、正しく、強く、ゆるぎない。 周囲の愛情を一身に受け、自ら輝きを増し放つ天性のスター。微塵の暗さもない、 張國榮とは対極の個性だと思っていた。 しかし、目の前の譚詠麟は違った。舞台のすべてを取り仕切り、経験に裏打ちされた 確かな自信をたたえた、男の顔だった。3時間、56曲。開演と同時に、曲の合間の短い トークも惜しむように、ひたすら歌い上げる。幕が上がる前、舞台裏で屈伸し、呼吸を整え、 鉄砲玉のごとく飛び出す姿が見えるような。歌に殉じ、舞台を生きる場と決めた覚悟が 感じられるような。 細い肩と背で息をしながら、アンコールを受けステージに戻ってきた。 「ここまで歌い続けられたことに、感謝します」。短く言って、客席に頭を下げた。 ともに香港歌謡界を支えた二人、張國榮も梅艶芳(アニタ・ムイ)も、世を去った。 80年代は、記憶の彼方に去りつつある2005年8月。53歳の譚詠麟の姿を、 忘れはしないだろう。汗が光る細い首と、歌うことに憑かれたような、満面の笑みを。
by yeungji
| 2006-06-20 01:26
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